来週の金融市場見通し(2025年6月23日~2025年6月27日)
■来週の見通し
日銀、米連邦準備理事会(FRB)はともに政策金利を据え置きました。他方、イスラエルとイランの軍事衝突が激化する中、トランプ大統領はイランへのアメリカの軍事介入について、「2週間以内に行動するかどうか決断する(19日)」としています。トランプ大統領はイランに「無条件降伏」を求めており、交渉による解決の余地は小さいとの見方も出てきています。来週は、中東情勢をにらみながらのやや神経質な動きになりそうです。東京都区部・消費者物価指数(CPI)なども確認したいところです。
◆株価 :良好な需給が支えに
今週の日本株は、底堅い動きとなりました。中東情勢の緊迫化が重しとなる場面もありましたが、日銀の植田総裁が追加利上げに慎重な姿勢を示したことなどが支えとなり、上昇しました。事業法人による自社株買いが高水準で継続していることも相場を下支えしたとみられます。
来週も、良好な需給が支えとなり底堅い動きが続くことが予想されます。先週までに海外投資家が11週間連続で日本株を買い越しているほか、事業法人による資金流入も大幅に増加しています。来週もこうした動きが続くと株価の押し上げ要因となりそうです。ただし、中東情勢が緊迫化しているほか、米国の関税政策も不透明な状況が続いており、一時的に株価が調整する場面もありそうです。
◆長期金利 :神経質な動き
今週の長期金利は、中東情勢への警戒から原油相場が上昇したことを受け、上昇して始まりました。日銀会合では政策金利を維持も、7~9月期の中長期債の購入の減額を決定したことを受けて、1.4%台後半まで上昇しました。その後は米国が軍事介入に踏み切ることへの警戒が高まったことや5年物国債入札を波乱なく通過したことなどから、1.395%まで低下する動きになりました。
来週は神経質な動きとなりそうです。日銀は来年度の国債買い入れの減額ペースを縮小したことに加え、財務省が超長期債の発行額を減額すると、一段の金利上昇が抑制される可能性があります。一方、日銀による中長期債の購入減額は長期金利の低下を抑制しそうです。原油相場にもよりますが、中東情勢が一段と緊迫化した場合には国内金利にも下押し圧力がかかる可能性があります。
◆Jリート :上値を模索する展開か
今週のJリート市場は、ほぼ横ばいで推移しました。中東情勢が緊迫化する中、毎月分配型投信の決算に伴う換金売りなどが見られたものの、底堅く推移しました。今週末の分配金利回りは4.898%(東証上場REITの予想分配金利回り、QUICK算出)でした。
来週は、日米長期金利や中東情勢をにらみながら、徐々に上値を模索する展開になることを想定しています。米国がイランへの軍事介入に踏み切ると市場はリスク回避的な様相となり、株式市場とともに売り圧力が高まることが想定されます。とはいえ、日米長期金利が低下していることや日銀が利上げに慎重な姿勢を示していることは安心材料です。また、5%程度の予想分配金利回りに着目した一定の買いが引き続きJリートを下支えすることが期待されます。
◆為替:ドル底堅い
今週は、中東情勢が緊迫化する中リスク回避の動きが優勢となり、安全通貨とされるドルに資金が流入したことで、ドル円は一時145円台後半まで上昇しました。また、日銀の植田総裁が、来年4月以降の国債買入の減額スピードを減速させたうえで、米関税政策の影響は引き続き不確実性が高いと、ハト派的な発言を行ったこともドル円を押し上げました。
来週のドル円も底堅い展開となりそうです。米国がイランへの軍事介入に踏切る可能性は否定できず、中東情勢が早急に収束する見込みは乏しい状況です。加えて、日米関税協議は一致点を見いだせず、その行方は予断を許さないことから、リスク回避の動きが優勢となりそうです。そのため、安全通貨とされるドルに資金が流入しやすく、ドル円は当面、底堅い展開が見込まれます。
◆米国株 :中東情勢や米経済指標に注目
今週の米国株は、上値の重い動きとなりました。中東情勢の緊迫化が重しとなったほか、17~18日に開催された米連邦公開市場委員会(FOMC)で、年内の利下げに慎重な姿勢が示されたことなどが、株価を圧迫しました。
来週は、中東情勢や米経済指標発表が注目されます。イスラエルとイランの衝突が激しさを増していますが、米国がイランへの攻撃を決断するか、注目されます。米政府は「トランプ大統領が、2週間以内に判断する」と発表しましたが、実際に米国のイランへの攻撃が決まると、投資家心理が悪化し、株価を下押しするとみられます。24日発表の米消費者信頼感指数や27日発表の米個人所得・個人消費支出も注目されます。消費の底堅さを示す内容になると、株価の押し上げ要因となりそうです。
■来週の注目点
東京都区部・消費者物価指数(6月) 6月27日(金)発表
5月の東京都区部・消費者物価指数(コアCPI、生鮮食品を除く総合)は前年比3.6%上昇と前月(同3.4%上昇)から伸びが拡大しました。エネルギー価格の伸びは鈍化したものの、コメを中心に食料価格の大幅な上昇が続きました。
6月の東京都区部・コアCPIは伸びが鈍化すると予想されます。備蓄米の放出などを受けコメ価格の騰勢が一服するほか、政府によるガソリンの定額引下げ措置がエネルギー価格を下押しする見込みです。
米個人所得・個人消費支出(5月) 6月27日(金)発表
4月の米個人消費支出(PCE)は前月比0.2%増と前月から伸びが鈍化しました。堅調な所得環境は個人消費の下支えとなっていますが、米国の関税引き上げを見越した駆け込み消費の一服により、財消費が減少しました。
5月のPCEは前月比0.2%増程度が予想されます。所得環境は堅調を維持しているものの、関税政策によるインフレへの影響が懸念されるなかで、個人消費は勢いを欠く状況が続く見込みです。
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